教えて! 感染症「風邪」から「新型コロナ」まで
 土井洋平・監修 小峰書店 2020年12月

寄贈本の紹介
〈教えて!感染症 「風邪」から「新型コロナ」まで〉全3巻 シリーズ
第1巻『感染症ってなんだろう?』
第2巻『感染症と人類のたたかい』
第3巻『感染症の影響と予防』
土井洋平・監修/小峰書店/2020年12月発行

 2019年末に、はじめて報道された新型コロナ(COVID-19)感染症問題は、ほぼこの一年間で、この地球に生存するすべての人にとっての重大問題となり、現在も感染者数が拡大し続けています。世界の人口が77億といわれる今日、世界の感染者数は、1億人(2021年1月26日現在で)を越え、既に世界人口に対する感染者数の割合が、80人に1人を割ってきました。

 子どもたちばかりでなく、おとなもよくわかっていないこの感染症。分からないと、不安を募らせます。このシリーズは、「感染症って何?」「どうして感染症にかかるの?」などの素朴な疑問に答えながら、広い視野から、科学的資料を用いて理解を深めていくことができます。

 第1巻では、感染症の原因となるものにどのようなものがあるのか。感染症から体を守る体内のしくみ。そしてこれまで人類がかかってきた主な感染症について、その特徴や症状などを簡潔に紹介しています。

 第2巻は、人類と感染症の歴史を振り返ります。たとえば、約3200年前に亡くなったラムセス5世というエジプト王のミイラには天然痘の跡がみられるそうです。マラリア、ペスト、天然痘など、何度も感染症が人類を襲ってきたことが、年表を用い分かりやすく示されています。1600年以降、人類は、感染症を起こす微生物の存在をつきとめます。手洗いと消毒が感染症の広がりを防ぐことが当たり前として取り入れられてきたのは、さほど古くないことが分かります。細菌の研究、感染症の研究、ワクチン開発の歴史も、写真や図などをたくさん使い、分かりやすく解説されています。

 第3巻では、新型コロナウイルス感染症をはじめとする感染症が暮らしや社会に及ぼす影響を取り上げています。そして感染症を予防するための効果的な3つのポイント:「感染経路を断つ」、「病原体を取り除く」、「体の抵抗力を高める」が具体的に説明されています。

 いま、まさにタイムリーな問題を取り上げているこのシリーズ。人類と感染症とのつき合いはとても長く、今回のCOVID-19以前にも、何度も甚だしい人口減を生んだ様々な感染症との出会い、取り組みがあった事。これから先も、人類の人口増、環境破壊、交通機関の発達などにより、新たな感染症との取り組みが避けられないことがわかります。広い視野から、ウイルスとの共存、感染症への効果的予防・取り組みをきちんと学び、各人が生活に活かしていくのに、役立つシリーズです。

 感染症の入門書として、小学校中学年くらいから、親子での読書もお薦め。図書館向けに作られた本なので、身近な学校図書館や公共図書館に備えられ、利用できるといいですね。

センター世話人 佐藤マリ